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DOJIMA RIVER AWARDS

-日本画-

優秀賞 青木香保里〈境界〉

審査コメント

ひとつの作品としてまとまりがあってよくできているが、何か飛び抜けた魅力があるかというと、“そつが無い絵”とも言える。これまでにも同じモチーフを描き続けてきているので、まとめるポイントがノウハウされてしまっており、 絵づくりと要領で作っているところが感じられる。また、遠目や画像ではよく見えても、実作品に近づいてみると筆の扱いのクオリティにいまひとつ不満が残るところが見受けられる。
見せ場や効果において、過去に描いたものからの想定が生きているが、それが見え過ぎてしまうと新鮮味が足りないというマイナスの面が出てしまうので、毎回、初めて描くつもりで挑戦する課題を設け、自分を揺り動かしていってほしい。また、同じものだけでなく新たなモチーフを描いていくことも必要である。他のものをいろいろと渡り歩いた後に、同じ主題に戻って描いたときには何か変化が現れるし、同じものを描く場合にも、毎回それぞれに試行錯誤を盛り込んでほしい。自分で「もっと描きたい」と思うことは大切なことなので、描きたければ描き続けるというのは良いことだが、自分で本当に描きたいかどうか分からなくなったときには、周りはもっと前に既に飽きてしまっているということは教訓として伝えておきたい。若いときから自分を動かす癖をつけて、ひとつに固まらないようにしてほしい。

作品解説

加速度的に情報化が進む現代において、人は多くの知識や技術、利便性を手に入れました。しかし同時に、『生』に対する実感は弱まっているように感じます。このような時代において私があえてアナログな手法で絵を描くのは、絵画制作が自身から乖離した『生』の実感を取り戻すための行為だからです。周囲に意識を傾け、移ろう生命の一瞬の輝きを捉え、集積し、再構築して形に残すこと。それが私にとって絵を描き続ける目的です。

作品詳細
制作年
2015
サイズ
各170×280
使用画材
和紙、墨、顔料