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DOJIMA RIVER AWARDS

-日本画-

堂島リバーフォーラム賞 大森隆史〈道〉

審査コメント

幻想的な世界を描き出しており、心が動く作品である。描きたいものに対して最短距離で進んでいる点も気持ちが良い。ただ、描き方にもうひと工夫あると、空間的によりすっきりと表現できるのではないかと感じる。例えば、地面に意識的に筆あとを残しているが、それがそれほど効果をあげていない。水たまりによって遠近が表現できているので、地面は平面的な方がかえって強さ・面白さが出たのかもしれない。また、月は胡粉を塗って真っ白な円形になっているが、その描き方も他にも何か方法があったのではないか。しかし、この作家の以前の作品と比べると、表現に幅が出てきた。今までは色が単調で黒は一色であったのが、 茶色味のある黒、青味のある黒、赤味のある黒など、同じ黒の中でも描き分け、見分けをしている。それによって作品のリアリティが高まり、今回の賞に結びついたのだと思う。水面もただ水たまりの形があるだけであったのが、表現を追いかけようとする意識が加わり、緻密さが増して高度になってきた。つまり、同じようなモチーフを描き続けているからこそ、次に展開をしていっている。ベテランの域に達する作家であるが、こうして着実に前進しようとする意識が評価された。

作品コンセプト

この風景は、自分の原風景です。長年過ごした団地のすぐそばの大きな雑木林で、そこには木を切り開いただけの道があリました。よく通った道は、時代と共に変貌しましたが、そこに立つとあの頃を思い出します。一つの風景としても好きな道ですが、自分の人生の一部が見えてくる道でもあり、未来へ続く道でもあります。その空間は空と木と道しかありませんが、スケッチへ行って出会った感動の風景とは違うのです。その風景は、自分を励まし前進する勇気を与え、豊かな気持ちにさせてくれる不思議な空間なのです。

作品詳細
制作年
2016
サイズ
97×162
使用画材
雲肌麻紙、銀箔、岩絵具、アクリル絵具