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DOJIMA RIVER AWARDS

-日本画-

大賞 林 孝二〈杜塔〉

審査コメント

重厚で力強く、大画面の迫力とともに細部を描き切るエネルギーと力量が伝わってくる。唯一の満票で大賞に選ばれた作品である。絵具は真黒焼の白緑などを使用している。単に黒ければ良いという絵ではなく、ある独特のグレーを狙って確信的にこの色彩を作っていっており、この焼けただれたようなグレーがモチーフとも合っている。また、背景のアルミ箔は非常に効果的である。下に塗った絵具を擦り出す技法を使うなど、アルミ箔の持ついわく言いがたい暗さが生かされている。箔はその存在自体が主張してくるものであるが、これをうまく押さえ込んでおり、ベテランの技であることが一見して感じられた。また、大きな作品が出品できる機会にあって、最も“大きさ”を味方につけている作品であった。画面を埋め尽くすような描き込みも良い。大画面の作品はつい描き込み過ぎて細部と全体がばらばらになってしまうものが多いが、この作品は必要で描き込んでいる。長年の試行錯誤があり、描いた人の年輪が感じられる、第1 回目の大賞に相応しい圧倒的で真実味のある仕事である。

作品解説

杜の中、聳え立つ榎の大樹。蔓が絡み幹を捻じ曲げ枝を折る。時が経ちやがて蔓が朽ち崩れ落ちる。人の時の流れなど知らぬ気に静かに佇むその塔にも似た姿をただ描き留める。その存在を知らしめる為に。

作品詳細
制作年
2009
サイズ
88×259
使用画材
雲肌麻紙、アルミ箔、真黒焼白緑、墨、膠