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DOJIMA RIVER AWARDS

-日本画-

特別賞 佐藤夏美〈from now, from here〉 2016

審査コメント

今回の中で、最も現代アートとしての評価ができる作品ではないだろうか。日本画そのものに向うというよりも、素材やテーマにおいて、日本画と他のメディアやジャンルなど、周辺との関わりの中で表現している。世界地図と三つ編みの髪の毛で複雑に絡み合った世界を形づくり、相当に丹念な線描で描いている。それらは一筋縄ではいかない混乱した世界を表しており、最後に日本地図の部分では自身の髪の毛が1 本に束ねられている。女性の象徴である髪を用い、女性らしい作品でもある。 若い作家が「自分と世界の繋がり」を考え、日本人のアイデンティティを日本画で考えていく中で、「黒い髪の毛」に自分の軸足を置いたところがユニークであるが、髪の毛自体は生々しく気持ちの悪いものとも言える。現代アートの作家たちが怖いもの、気持ちの悪いもの、痛いものなどを直視し、それらをごまかさずに積極的に見せていくことでリアリティを提示する手法は大いに認められるものの、物質としてのモノが単純に持っているものを超越させてこそ初めて良い作品になるとも言える。また、吊るして展示する意図なのか、フックに引っ掛けるような穴が開いているが、それには必然性を感じなかった。こつこつと描いた髪の毛と現代アート的な思考の組合わせには何か新鮮な可能性は感じる。

作品解説

とうとう 髪を切ったわたしから
旅へ出るわたしから
今わたしがいるここから
一生をかけても出逢いきれないものたちへ
墨で描くか細い一本一本の髪の毛は、
長いながい三つ編みとなってこの世界を辿る

作品詳細
制作年
2016
サイズ
240×300
使用画材
地塗り済麻キャンバスの裏地、墨、胡粉、タルク、紅茶の葉、作者の髪の毛