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DOJIMA RIVER AWARDS

-日本画-

特別賞 渡邊佳織〈プライベート・ヒロイン〉

審査コメント

絹本にうす塗りでしっかりとした線描を基本にして緻密に描いており、人物の表情も丁寧でとても上手い。モチーフ自体は古典的なものであるが、その組み合わせ方は映像的とでも言うのか、写真世代が捉えたような自由さがあり、ある境界を優に越えていく。例えば、人物が椅子の上に座っているのではなく立っており、それぞれのスケール感も違う。梅のような樹木は椅子を突き抜けている。伝統的な日本画のスタイルをまっとうに継承しながらも、モチーフの扱いが現代的で、そのギャップがとても興味深く感じられた。 高い技術の繊細な描画と優れた色彩感覚から成り、イラストレーションと絵画の違いを考えるにおいても、着目できる作品である。しかし、人物の顔を描き過ぎているために他の良さがすんなり伝わってこない、という指摘もあった。また、3 つの要素のそれぞれに軸があるように見え、互いに邪魔をし合って、少しうるさすぎる感もある。絵の軸となるものをひとつにしぼるような構成ができると良いと思う。

作品コンセプト

この作品は羽衣伝説をもとにしています。詳細は地域によって諸説ありますが、天女が人間の男に羽衣を奪われたうえ妻にさせられるというくだりには、少なからぬ悲憤を感じていました。とはいえ、哀しいだけの絵にはしたくない。私が求めたのは囲繞から外へ一歩を踏み出さんと堅忍果決する姿なんです。

作品詳細
制作年
2016
サイズ
使用画材
絹本、岩絵具、水干絵具、墨、金箔、雲母、膠