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DOJIMA RIVER AWARDS

-日本画-

特別賞 鈴木紗綾〈夜中〉

審査コメント

作者は宮城県仙台の人で、作品からは3.11 以降に続く、この時代が持つ閉塞感が感じ取れる。切実なリアリティが評価できる作品であり、ものを作る人間として、その憂いを噛み砕き、何か別の形に置き換えようとするところに魅力を感じる。日本画のコンクールであること、ひいては絵であることを忘れさせ、まず心が開かれるというような良さがあり、それはとても大切なことのように思われる。小振りな作品であるが、やはり作品は大きさではなくその世界観こそが問われるものであることを示してくれている。一方、白昼夢や不思議な夢の中の非日常的な世界だけに見えてしまわないよう、個人的な思いをこれからも追求していってほしい。また、このような画題・表現に日本画の画材や描法が適しているのかは疑問であり、油絵で表現する方が良い世界かもしれない。この絵には西洋的なものもあれば、東洋的なものもある。現代的なものもあれば、古典的なものも含まれている。まだ若い作家なので、より表現を広げ、これから大きく伸びていってもらいたい。

作品解説

暗く湿った地下室を歩くことは自分自身、そして人間と向き合う行為と似ている。どこへ続く道なのか答えはなく、その中を彷徨う行為は恐ろしく孤独で不安のつきまとう旅である。しかしその中で、悩みもがくことで自分自身を知り、そして他者を理解するーそれは人間性の回復へと繫がる旅ではないかと考える。

作品詳細
制作年
2016
サイズ
60×91
使用画材
雲肌麻紙、岩絵具